火の特徴|東洋医学の気候と体調の関係
火の特性
気候の移り変わりは自然の摂理で、悪いものではありませんが、東洋医学では気候の変化が体の適応能力を超えてしまった時、病因になりえると考えます。気候は、[風火暑湿燥寒]の[六気]で表されます。これらが変化し、病因になってしまうと[六淫](りくいん)と呼ばれます。このページではその6つの要素の中の[火]の特徴の説明をしていきます。五行の五元素の[火]とはまた違う要素なのでお気を付けください。[六淫]についての詳細は下記へ。
※図や表以外で、東洋医学の言葉は全て[ ]の中に表しています。例えば、[心]は東洋医学での[心](しん)を表し、普通に心と書いてある場合は、通常の「こころ」を表しているとお考え下さい。そして[ ]内の言葉はまとめて東洋医学の言葉一覧のページで意味を調べられます。
目次
[火]のイメージ
火が燃えあがっているイメージ思い描きながら特徴を理解すると分かりやすいです。キャンプファイヤーを思い浮かべてみてください。火は上へ上へと燃えています。火の熱は近くの水分を蒸発させ、木を燃やします。火が燃えているところには風が生まれます。火に触れてしまうと、皮膚は赤くなり腫れてしまいます。いい具合に火の暖かさを感じているときは、体の血行が良くなります。このイメージから、具体的な[火]の特徴を見ていきます。
[火]の特徴
五行 | 木 | 火 | 土 | 金 | 水 |
五臓 | 肝 | 心 | 脾 | 肺 | 腎 |
五気 | 風 | 熱 | 湿 | 燥 | 寒 |
六気 | 風 | 火・暑 | 湿 | 燥 | 寒 |
六淫 | 風邪 | 火邪・暑邪 | 湿邪 | 燥邪 | 寒邪 |
五季 | 春 | 夏 | 土用(長夏) | 秋 | 冬 |
熱がある
当たり前ですが、[火]は熱があります。そのため、[火]が[火邪]になると高熱、口渇、発汗、炎症などの熱を持った症状が現れます。
上へ行く
火は上へ燃え上がるように、[火]には上へ行く性質があります。そのため、[火]が[火邪]になると、体の上部である頭や顔に熱がのぼります。そして、頭痛、目が赤く腫れて痛む、歯茎が腫れて痛む、口の中にできものができる、といった症状が現れます。
[心]に影響
[火]は[五臓]の[心]に対応します。そのため、[火]が[火邪]になると、[心]が主る精神活動に影響を及ぼします。たとえば、イライラして落ち着かない、興奮して眠れない、などです。ひどい時には狂乱、精神錯乱になります。
[津液]を消耗
火は水を蒸発させるように、[火]が[火邪]になると、体内の[津液]を消耗させます。そうすると、口渇、便秘、尿が少ない、といった症状が現れます。
[気]を消耗
火が色々なものを燃えつくすように、[火]が[火邪]になると、体内の[気]も消耗させます。そうすると、息切れ、力が入らない、だるい、といった症状が現れます。
[風]を生む
火が燃えているところには風が生まれるように、[火]が[火邪]になると、[風邪]の揺れる性質も一緒に現れます。めまい、けいれん、ふらつき、ひきつけなどです。
[血]を動かす
暖かいと血行促進されるように、[火]には[血]を動かす作用があります。[火]が[火邪]になると、鼻血、吐血、血尿、血便といった出血の症状が現れます。
腫れる
[火]は[火邪]になると、腫れる性質があります。発疹や膿疱などです。[火]によって[血]が動かされ、局部に集まって血肉を腐食することが原因と言われています。
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