Oriental Medicine,  五行

感情と体の関係|東洋医学の五志・七情

感情と体の関係

東洋医学では体に現れる不調と見えない部分の心を密接につなげて考えます。ここでは特に感情と体の繋がりを説明していきます。ここまでの東洋医学の基本的説明は下記をご覧ください。

陰陽五行説

※図や表以外で、東洋医学の言葉は全て[ ]の中に表しています。例えば、[心]は東洋医学での[心](しん)を表し、普通に心と書いてある場合は、通常の「こころ」を表しているとお考え下さい。そして[ ]内の言葉はまとめて東洋医学の言葉一覧のページで意味を調べられます。

目次

  1. [五志]とは
  2. [七情]とは
  3. [七情]が影響する体の2つの機能



[五志]とは

東洋医学では万物を[木火土金水]の5つの元素に分けて考えますが、それに対応する情緒の部分を[五志]と言います。

五行
五臓
五志
七情 悲・憂 恐・驚
気への影響 上がる 緩む つまる 消える(沈む) 下がる・乱れる

[七情](しちじょう)とは

[七情]とは、[五志]の[怒喜思悲恐]に[憂]と[驚]の2つをプラスした、7つの感情の変化のことを言います。これらの感情自体は悪いものではありませんが、長期間の乱れは内臓に影響し、病気を引き起こします。逆に、長期間の内臓の不調は感情にも影響します。こういった自分の内側からの原因の病因を[内傷](ないしょう)と言います。そこから七情が病因となることを[内傷七情]と言います。病因についての詳細は下記へ。

参考に、感情とは別に、精神性を表す部分については[五神]と言います。詳しくは下記へ。

[七情]が影響する体の2つの機能

[七情]の乱れによって、影響される部分が2つあります。それは[五臓](体の生理機能)へのダイレクトな影響と[気]への影響です。[気]に影響することで、間接的に[五臓]にも影響します。どのように影響するのかを見ていきます。[五臓]や[気]に関しての詳細は下記へ。

[五臓]へ影響

感情は、[五臓]の[気]によって維持されていると考えます。そのため、[五臓]に異常が発生すると感情にも変化があります。逆に感情が乱れると、関連している[五臓]の[精気]を乱すことになり、病気につながります。各臓に関連する不調は各臓の詳細ページをご覧ください。

[肝]への影響

[怒]は[肝]に属するので、怒りすぎると[肝]を傷つけます。[肝]の不調は怒りにつながります。

[心]への影響

[喜]は[心]に属するので、喜びすぎると(興奮しすぎると)[心]を傷つけます。[心]の不調は緩みにつながります。

[脾]への影響

[思]は[脾]に属するので、思いすぎると(考えすぎると)[脾]を傷つけます。[脾]の不調は考えすぎにつながります。

[肺]への影響

[悲]・[憂]は[肺]に属するので、悲しみ憂いすぎると(悲しんだり思い悩みすぎると)[肺]を傷つけます。[肺]の不調は悲しみや悩みすぎにつながります。

[腎]への影響

[恐]・[驚]は[腎]に属するので、恐れ驚きすぎると[腎]を傷つけます。[腎]の不調は恐れや乱れにつながります。



[気]への影響と関連する不調

前項では[五臓]へのダイレクトな影響を説明しましたが、ここでは感情の[気]への影響を説明します。正常な感情の動きは[気]の働きを促進します。過剰になると[気]を乱し不調につながります。どのように[気]を乱すかを感情ごとに説明していきます。

[怒]:[気]が上がる

怒りすぎると、[肝気]が逆上します。[気]は[陽]で熱を持ち、熱は上に行きます。そのため、頭痛・めまい・目の赤みなどの症状が出ます。[肝]の[血]を貯蔵する機能が失調すると、[血]も逆流し、突然倒れるといった症状にもなります。ドラマなどである、怒り興奮しすぎて倒れるシーンはこの仕組みです。

[喜]:[気]が緩む

適度な喜びは[気]を巡らせますが、バランスが大切で、東洋医学では喜びすぎも不調につながると考えます。喜びすぎると[心気]が緩みすぎます。緩むとは、注意散漫になったり、興奮しすぎるようなイメージです。そうすると[心]の精神を主る機能に影響します。その結果、集中力の欠如、動悸、不眠、ひどい場合は失神や狂乱などの精神異常となります。

[思]:[気]がつまる

[思]とは考えすぎのことです。考えすぎて精神疲労が過度になると、[脾気]が詰まります。その結果、腹部膨張、食欲不振、軟便といった[脾]に関する症状が現れます。

[悲]・[憂]:[気]が消える(沈む)

憂うとは、心配しすぎたり思い悩んだりすることです。悲しんだり、憂いすぎると、[肺気]を消耗します。その結果、呼吸が浅くなる、咳、声のかすれ、話したくない、ボーっとする、といった症状が現れます。

[恐]:[気]が下がる

恐れすぎると[腎気]が下がります。[腎]の機能の中で[気]の機能が下がると、[気]の固摂作用(正常な位置に保つ作用)が機能しなくなり、その結果、大小便の失禁、遺精、流産、早漏といった症状が現れます。アニメなどで見る、怖すぎて漏らしてしまうのはこの仕組みです。

[驚]:[気]が乱れる

驚きすぎると[腎気]が乱れます。[腎]は[心]と相生関係で、[腎]が母、[心]が子の関係です。そのため[腎気]が乱れると精神活動を主る[心]に影響します。そのため激しく驚くことによって、精神が不安定になったり、動悸、不眠、精神錯乱といった症状が現れます。




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