精の働き|東洋医学と体の考え方
精とは
東洋医学の考え方の一つにとても重要な[精]の意味を説明していきます。東洋医学の基本は下記からご覧ください。
※図や表以外で、東洋医学の言葉は全て[ ]の中に表しています。例えば、[心]は東洋医学での[心](しん)を表し、普通に心と書いてある場合は、通常の「こころ」を表しているとお考え下さい。そして[ ]内の言葉はまとめて東洋医学の言葉一覧のページで意味を調べられます。
目次
[精]の意味
東洋医学の中で、[精]とは人体の生命活動の最も根本的な基本物質です。[先天の精]と[後天の精]があります。
[先天の精]
[先天の精]は、両親から受け継いだ、生まれ持ってある[精]です。[腎]に貯蔵されています。母体で成長する段階で、母親の母胎の[気]と[血]から栄養を受けて生成されます。そのため、生まれ持ってある[先天の精]は、生長や発育に影響します。[先天の精]は受け継ぐ量がほんの少しのため、次の[後天の精]で補います。
[後天の精]
[後天の精]は、[脾]と[胃]の働きによって、飲食物から作られます。初期の消化を経た飲食物の中の栄養素を[水穀の精微]と言います。この[水穀の精微]と自然界から得られる[清気]が合体することで、[後天の精]は作られます。そして[後天の精]は五臓六腑に送られるため、「五臓六腑の精」ともいわれます。[後天の精]と[腎]に蓄えられた[先天の精]が合わさったものを[腎精]と言います。
[精]の流れまとめ
今までの説明を図にまとめたものです。
[天癸](てんき)とは
[精]が[後天の精]で補われていき、性の成熟である[天癸]が作られます。[天癸]が作られると、男子が精子を作りはじめ、女子は月経がはじまります。そして、[精]から[気]や[髄]などが作られます。その後ある年齢を超えると[精]が減少し始め、それが老化につながります。
[腎精]の働き
[先天の精]と[後天の精]によって[腎]に溜められた[腎精]の働きは3つあります。
生殖機能
前項で説明したように、[腎精]によって[天癸]が作られます。そして女性は初潮に、男性は精液が作られるようになります。
発育
[腎精]は[髄]となります。[髄]は骨の健康を保つ役割があります。さらに[髄]は髄の海とも言われる[脳]とつながっています。脳内は[髄]で満たされています。そのため、発育と密接に関連しています。
生命活動の維持
[腎精]は[腎]から[命門]に貯蔵され、そこから[丹田]に[原気]として貯蔵されます。その後[三焦]を通じて全身へ送られます。この時[原気]が巡りを助けてくれます。
[精]に関連する不調
子供の発育不全
[先天の精]が不足していると、発育不良や夜尿症、小児喘息といった症状が出ます。しかし[後天の精]で補っていくことで成長と共に症状が改善することが多いです。
生殖器系の不調
生殖機能を働かせる[精]が不足すると、性的機能の低下、不妊症、失禁、遺精、流産などの症状が出ます。[腎]の蔵精作用が衰えて、[精]を貯蔵できなくなるためです。
老化
[腎精]は年を重ねるにつれて少なくなります。そうすると[腎]の働きが低下し、[腎]に対応する髪・歯・耳・足腰・脳などに不調が出てきます。難聴、認知症、足腰が弱まる、毛や歯が抜けるなどの症状があげられます。
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