ギーの効果効能と使い方|バターから作られるアーユルヴェーダの万能油
ギーの効果効能
目次
ギーのデータ
名前 | ギー、Ghee |
原料 | バターから作られる |
香り | ギー独特の香り |
色 | 黄色 |
酸化 | 酸化しにくい |
浸透力 | 浸透しやすい |
肌質 | 全ての肌質 |
部位 | フェイシャル、ボディー |
注意点 | 食用として摂りすぎに注意 |
ギーの代表成分
主な脂肪酸
飽和脂肪酸 72.4 % | |
一価不飽和脂肪酸 18.6% | |
多価不飽和脂肪酸 9 % | |
リノール酸 | 5.38 % |
α-リノレン酸 | 3.7 % |
※1の論文より参照
脂肪酸について、脂肪酸の摂取方法などは下記をご覧ください。
ギーの特徴
アーユルヴェーダの万能オイル
ギーはアーユルヴェーダで万能オイルとして何千年も利用されてきました。インドの他にもアフリカやアジアの一部の地域でも利用されてきました。バターから(本来は牛乳から)不純物を取り除き、純粋な油分にしたものをギーと言います。どのドーシャも鎮静させて、消化力を高めてくれます。
乳糖不耐性の人も大丈夫
乳製品は乳糖不耐症の人は体が受け付けませんが、ギーは純粋な油分なので、乳糖不耐症の人も利用できます。
中鎖脂肪酸が多い
ギーは飽和脂肪酸が大半を占めますが、ココナッツオイルのようにその中でも中鎖脂肪酸が多くを占めます。飽和脂肪酸は摂りすぎに注意が必要ですが、中鎖脂肪酸は結合が短いため、直接肝臓に運ばれて素早くエネルギーになります。そのため体に負担がかからず、脂肪となりにくい脂肪酸です。
ブチル酸が豊富
ブチル酸はバターに多く含まれる脂肪酸のひとつで、ギーの特徴でもあります。ブチル酸は、ビフィズス菌などの善玉菌を増やす働きがあります。また、T細胞という免疫細胞を増やす働きがあると言われています。
ビタミンA, D, Eが豊富
ギーには脂溶性のビタミン、特にビタミンA, D, Eが豊富です。これらは肌や目、体の健康に欠かせない栄養素で、次の項目で示すような様々な作用をもたらします。
長期間保存できる
ギーはバターと違い、純粋な油分です。不純物が無いこと、脂肪酸は飽和脂肪酸がメインであること、またビタミンEも豊富なことから酸化しにくいです。長期間保存できるオイルのひとつです。
ギーの効果効能
抗酸化作用、免疫機能調整、アレルギーの緩和、抗炎症作用など |
免疫機能を高める
バターに多く含まれるブチル酸(酪酸)が豊富なギーは、免疫機能に働きかけます。免疫細胞の一つであるT細胞を増やす働きがあります。T細胞の働きはウイルスから体を守ったり、癌細胞から体を守ったりと様々な免疫機能に関わります。ブチル酸だけでなく、免疫にかかわる大切な成分であるビタミンDも多く含まれています。
炎症やアレルギーの緩和
T細胞の働きの一つに、炎症やアレルギーを抑える働きがあります。ブチル酸が豊富なギーはそのT細胞に働きかけるので、アレルギーの症状を緩和させたり、炎症が原因の不調を緩和させます。
エネルギーを供給
ギーに含まれる飽和脂肪酸は、中鎖脂肪酸が多くを占めます。中鎖脂肪酸は、長鎖脂肪酸とは異なり、結合が短いことから、直接肝臓へ行き、エネルギーに変換されます。すぐさまエネルギーとなるので、エネルギーチャージが必要な時にいい供給源となります。
脂肪がたまりにくい
また、その中鎖脂肪酸は、すぐにエネルギーになるので、脂肪分が体にたまりにくい性質があります。他の総和脂肪酸メインのオイルや脂肪を摂取するよりも、肥満になりにくいです。
善玉コレステロールを増やし、悪玉を減らす
インドの研究によると、ギーは善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールを減らすと言われています。
目の不調を改善
ギーに豊富に含まれるビタミンAは、目に関わる大切な栄養素です。目の健康維持、視機能の改善に欠かせません。
抗酸化作用
ビタミンE, A, リノール酸、ブチル酸といった成分は、抗酸化作用に優れています。これらのおかげで、フリーラジカルを抑え、酸化を防止し、ガンを抑制する作用にもつながります。
ドーシャのバランスをとる
アーユルヴェーダの理論からすると、ギーは全てのドーシャを鎮静させる数少ない食材の一つです。どのドーシャにも合うので、様々な料理に多用されます。油なので、摂りすぎはカパを増やすので注意してください。
消化機能を促進
アーユルヴェーダの健康で一番大切な、消化力を高める働きがギーにはあります。消化力を高めますが、ピッタは増悪させません。
オージャスを高める
アーユルヴェーダの理論では、すべての組織のオージャスを高めると言われています。オージャスとは「生命エネルギーのもと」とも言われ、生命力や免疫系に関わっていると言われています。
若返り
アーユルヴェーダでは、ギーは肌の若がえりだけでなく、精神や脳の若返りにも作用すると考えられています。記憶力が改善したり、寿命を延ばすとも言われます。
その他ありすぎる効能
アーユルヴェーダで万能油であるので、ギーの効果は使い方によってまだまだ沢山あります。アーユルヴェーダではこのような作用もあると言われています。解熱、疲労回復、血行促進、強壮、傷の治癒、便秘解消、大腸炎や潰瘍の改善、鼻の不調改善・・・。
ギーの使い方
料理に
全てのドーシャに使用できるので、料理に多用されます。ピッタを増悪させずに消化力を高めてくれます。ピッタが乱れている場合は、苦味のハーブと一緒に利用します。摂りすぎはカパを増大させます。加熱に強いので、加熱料理に利用することができます。ただ、飽和脂肪酸がメインであることは変わりないので、食べ過ぎには注意してください。料理にスプーン1杯ほどをかけて取り入れるなど、少量だけでとても効果的です。
スパイスをブレンドする
ギーにさらに作用をプラスする方法として、スパイスをブレンドする方法があります。ギーはバターのような香りが強いので、その香りを抑えることにもつながります。60~70℃くらいのお湯でギーを湯煎し、そこにスパイスを入れます。30分ほど湯煎し続けた後、ろ過したら出来上がりです。
ホットミルクに
ホットミルクにギーを入れて寝る前に飲むと、便秘解消にいいと言われています。特にヴァータタイプの人に向きます。
マッサージに
ギーはマッサージオイルとしても利用されています。毒素を取り出してくれるオイルです。またビタミンが豊富なことから、肌の若返りやトラブルにも効果的です。ギーには独特のバターのような香りがあるので、マッサージに使用するときに気になる人はお気を付けください。前述したようなスパイスをブレンドさせたギーをマッサージように使用すると、スパイスの作用も一緒に期待できます。
目のケア
ギーは目のケアとしても有名です。強力粉で作った粘土のようなものを目の周りに作り、その中にひと肌に温めたギーを流し込みます。その中で目をぱちぱちさせて洗浄します。(専門の人に行ってもらってください!)これは目の疲れや充血を緩和させたり、澄んだ白目にしたり、ドライアイや視力の改善につながると言われています。もっと簡単な方法だと、ギーを目薬のように点眼する方法や、目じりにつける方法もあります。
ギーの作り方
ギーの作り方は、下記で写真付きで詳しく説明しています。参照ください。
次はこれを要チェック
※1: Kalpana S. Joshi et al. Docosahexaenoic acid content is significantly higher in ghrita prepared by traditional Ayurvedic method. 2014.